さて、先月のコラムに引き続きトライアスロン計測について書いてみたい と思います。
トライアスロンと言えば、総距離が200km以上に及ぶロングディスタンスや、 反対に初心者でも手軽に参加できる総距離25.75kmのスプリントディスタンス などもありますが、スタンダードディスタンス(旧オリンピックディスタンス) と呼ばれる総距離51.5kmのレースが現在では標準的です。
そして、トライアスロンは日本各地で開催されていますが、その開催場所を 大きく分類すると、「離島あるいは人口の少ない郊外」か「市街地」かに 分かれます。前者の場合、コースとして公道を交通規制して開催されることも 多く、たとえば有名な「全日本トライアスロン宮古島大会」の場合は、バイク コースは豪快に島一周であったりします。反対に後者の場合は、そもそも公道 を使わず、施設敷地内や公園内といったクローズドされた空間で開催されること も多いです。公道を使うにしてもそれほど大規模エリアの規制はせずに、 狭いエリアだけに限定されることも多いです。
こういった「市街地」開催のトライアスロンの場合、標準的な51.5kmのスタン ダードディスタンスを開催するにも、バイクコースとして40km分の道路を確保 するのが大変です。必然的にコースは周回コースとなります。 たとえば7月に開催されている「館山わかしおトライアスロン」ではバイク コースは1周5kmを8周するという設定です。バイクほどではないですがランも 同様で、「館山わかしおトライアスロン」だとランコースは1周2.5kmを4周 します。このように周回コースというのがトライアスロンの大きなポイントに なります。

周回コースの場合、発生しうるトラブルが
「周回ミス」です。

バイクコース8周しなければいけないところ、7周で終えてしまうというケース
が時々あります。

こうした場合、本来の距離を完走していないことになりますので残念ながら失格
ということになってしまいます。こうした周回数は計測チップによって計測する
のがベストですが、大会によっては選手が1周するたびにスタッフが輪ゴムを1個
ずつ渡していくという方法を取っていることもあります。なお、バイクに関しては
自転車にサイクルメーターを装着することが義務付けられていることも多く、
サイクルメーターで選手自身が走行距離を把握しながら走るというのもトライ
アスロンのならわしです。(もっとも、サイクルメーターを付けていても周回数
を間違える選手はいるものです!)

周回ミスを起こした選手が発生した場合、基本的には大会主催者が会場内で
本人を呼び出して、本人に事実確認を取る対応が一般的です。
しかしその対応にはそれなりに時間がかかります。周回ミスの選手は基本的に
失格になりますので、たとえフィニッシュしていても記録が取り消されます。

したがって周回コースのトライアスロンの大会の場合、レース結果(リザルト)
の確定にはそれなりに時間を要するということになりますし、場合によっては
後から修正されることもあります。

せっかく長いレースをフィニッシュしたのに、周回ミスで失格になってしまうと
一番残念なのはもちろん御本人ですが、その1人の対応のために他の全ての選手
の結果にも影響が出てしまうというのがトライアスロンの計測の特徴でもあります。

現場でよくありがちなやりとり。
選手が大会本部もしくは計測テントにやってきて、「レースの結果はいつ掲示
されるのですか?」(当然、御本人は集計が終わっているはずだと思ってらっ
しゃいます)と質問されます。それに対して「周回ミスした選手の確認等を
おこなっていますので、もう少し時間がかかります」というのは定番の返事
です。(あるいは、「後日、大会ウェブサイトに結果が掲載されますので
それまでお待ち下さい」とか)

このギャップ(周回ミスなどしない大部分の選手サイドと、計測サイドの
ギャップ)は想像以上に大きいと思いますね。

余談ながら、周回数を多く走ってしまう周回ミスも時々あります。バイクコース
8周なのに、9周走ってしまったというケースです。これはもう完全に御本人が
損をしているだけなので、特に対応はありません。タイムを引いてあげる等と
いうことはなく、そのままです。
 

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