今回は「ウェーブスタート」について書きたいと思います。
市民マラソンで時々見かける運営方式です。

ウェーブスタートという用語も専門用語です。「Wave」=つまり「波」
から来ていますが、日本語に訳すと「時間差スタート」でしょうか。

一言で説明するならば「スタート時の混雑緩和のために、スタート時刻を
時間差で複数回に分ける」レース方式のことです。

たとえば、参加人数1万人のレースがあったとしましょう。
あいにくコースの道幅が狭く、一度に1万人がスタートするのは困難だと
いう場合、スタートを3回に分けるとウェーブスタートになります。

第1スタート(第1ウェーブ) 9:00スタート 4,000人
第2スタート(第2ウェーブ) 9:05スタート 4,000人
第3スタート(第3ウェーブ) 9:10スタート 2,000人

たとえば上記のように5分おきにスタートさせる方法です。

どういった基準で各ウェーブを分けるかというと、性別や年代で分ける
とか、申告タイムで分けるとか(速いランナーは先のウェーブ、遅い
ランナーは後ろのウェーブなど)、色々考えられます。


さて、このウェーブスタートの最大のメリットは、スタート時および
走行中のコース上の混雑を緩和できることです。どうしてもコースの
幅や会場の広さには物理的な限界がありますので、この方式は役立つ
ことでしょう。


一方で、デメリットは順位がわかりにくくなってしまうことです。
たとえば上記のレース例で3人のランナーが10時に同時にフィニッシュ
したとしましょう。10時に同時にフィニッシュしたとはいえ、各自の
タイムはA選手(第1ウェーブ)が1時間、B選手(第2ウェーブ)が55分、
C選手(第3ウェーブ)が50分となります。スタートした時刻が違うので、
タイムも当然違ってくるわけです。
また、順位についても通常のレースだと1番目にフィニッシュした人が
1位、2番目にフィニッシュした人が2位・・・、というようにその場で
どんどん順位が確定していきますが、ウェーブスタートの場合は、全選手
が完走するまで最終的な順位は算出できません。


ですからウェーブスタートのレースでは順位の
扱いが非常に慎重にならなければなりません。
そして我々計測スタッフだけでなく、大会
主催者、関係スタッフ、もちろん参加選手が
そのことを理解・把握していなければなり
ません

実際、ウェーブスタートは誤解・混乱を招きやすく、トラブルの火種と
なる可能性がつきまとうのも事実です。

もっとも、それぞれのウェーブの中だけでの順位であれば問題ありません。
複数のウェーブをまたいでの順位が問題なのです。

もしウェーブスタートを導入するのであれば(そして複数のウェーブを
またいでの順位付けをするのであれば)、その運用方法をきちんと定め、
周知徹底させることがキーポイントになるでしょう。








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