ICチップを使用したタイム計測といえども、単純に万能ではないと
いう事例は、これまでもこのコラムで様々にご紹介してきました。
今回もそんなお話の1つです。

とあるレースで100人の参加者がいたとしましょう。
もちろん100人全員がそれぞれICチップを付けています。
話をわかりやすくするために、今回はスタート地点にもタイム計測用
のアンテナを設置していたとしましょう。

いざ、レースがスタートしました。スタート地点のアンテナで計測された
データの数は100件でした。100人全員がスタートしたことになります。
さて、レースが進み、その後、続々とフィニッシュ地点に参加者が帰って
きます。そして最後の参加者がフィニッシュしました。

ここでフィニッシュ地点で計測されたデータの数を見てみると99件
でした。あれ? 1件少なくなっていますね。

さて、ここで問題です。このレースでフィニッシュした参加者は
何人でしょうか?
①99人 ②100人




・・・正解は、どちらもありえます

①99人という場合
参加者のうち1人が途中リタイアした場合ですね。

②100人という場合
参加者のうち1人がレースの途中でICチップを落としてしまった場合や、
あるいは何らかの理由でICチップが故障してしまった場合など。
実際は100人がフィニッシュしているのに、1人分が計測されていない
ということになります。

こういった話は、実際の現場では時々起こりえます。
ですから、単純に「フィニッシュした人数を教えてください」と
聞かれたときでも、この場合「99人です」と断定はできないわけです。
「ICチップの計測では99人です」というのが正しい答えになるでしょうか。


さらに例えば逆のケースもありえます。
フィニッシュ地点で計測された数が100件だったとしても、実際の
フィニッシュ人数は100人ではなく99人ということもありえます。
以前のコラムでも紹介しましたが、途中リタイアした人のICチップを
回収した大会役員さんがそのままICチップを持ったまま、フィニッシュ
地点のアンテナを通過してしまい、途中リタイアした人のデータも
計測されてしまうということが起きうるからです。

ICチップ計測の世界って奥が深いと思いませんか?
いくらシステムや技術が進歩しても、それを運用するのは人間ですし、
それが運用されるのは不特定多数の人々が集うイベント現場です。
ですからシステムや技術の性能だけで万能の解決法になることは
まずありえません。上記に挙げたようなアクシデントは日常茶飯事です。
そういうことも織り込んだ上で私たちは仕事をしています。


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