毎年7月下旬に開催されている(今年2008年だと7月25日です)「富士登山競走」をご存知でしょうか?
これは富士山のふもとの山梨県の富士吉田市役所をスタートして、富士山頂をフィニッシュする山岳レースです。 走行距離は21kmですが、スタートからフィニッシュまでの標高差は3,000m! スタートとフィニッシュの温度差は21度あります!
この過酷なレースに毎年2,000人以上が参加し、過去の最高タイムは2時間32分40秒。 わずか2時間半で富士山に登ってしまうのです。
この大会の計測もICチップが使用されており、私は過去に3回従事させて頂きました。もちろん富士山頂で計測をおこなうわけです。(コース途中の通過地点も計測します)

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(2003年の富士登山競走の様子。富士山頂のフィニッシュ地点です)


富士山頂に計測機材を上げるのは、もちろん人力では不可能で、山小屋に荷物を運ぶブルドーザーに上げてもらいます。スタッフはもちろん徒歩で(五合目から)山頂まで登山です。

さて今から8年前、2000年の富士登山競走の時、当時24歳の私は山頂&八合目の計測チームでした。(※当時の私は株式会社ランナーズに在職)
大会前日に山頂&八合目まで登山し、機材の準備やテストをおこないます。
その夜は八合目の山小屋に宿泊です。

ところが明けて当日。富士山は悪天候でした。暴風雨。視界は霧で真っ白で、気温も低く、7月なのに凍える寒さ。台風のようなすさまじい風です。

この状況下でレースをおこなうのは選手の安全に関わるということで、急きょレースは山頂まで行かずに、途中の五合目で打ち切るという措置が取られました。
ということで山頂&八合目チームの計測の仕事はなくなってしまいました。
あとは下山するだけ・・・。

・・・ではありませんでした!
山頂に残してある計測機材を撤収するという大切な仕事が残っていました。(計測機材は前日から山頂の神社の倉庫に置かせていただいていました)

まずは八合目から山頂まで上がらなくてはいけないのですが、暴風雨。とても登山できそうになく、天候が回復するまで待つという選択肢もあったと思いますが、この時はブルドーザーのご好意で(本来はダメなのですが)計測スタッフをブルドーザーに乗せて山頂まで上げてくださったのです。
ブルドーザーといっても人が乗れる荷台があり、軍隊のジープの荷台のような感じです。この時ほどブルドーザーのたくましさを実感したことはなく、視界が真っ白な中、(悪天候のため他の登山客の姿もなく)生命の気配のない荒涼とした岩肌の中を進む光景は、砂漠の戦場のようでした。それにしても寒い!

こうして暴風雨の中、山頂に到着。計測機材を必死にブルドーザーに積み込みます。計測マットは1枚が2m×1mの大きさで重量が30kgあって、大人2人がかりで運ぶ代物なのですが(このマットが10枚ぐらいある)、この計測マットを大人2人で運んでいる最中にマットごと暴風雨で飛ばされそうになったことは、私の11年間の経験の中で後にも先にもこの時だけです。

必死の思いで機材を撤収し、再びブルドーザーで八合目へ戻り、休憩したのち徒歩で下山しました。

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(ブルドーザーの雄姿。2003年の富士登山競走)


とにかく富士登山競走と言えば、この時の記憶が強烈に残っています(笑)。

大会が開催されていて、計測の仕事のために出向いているにも関わらず、計測をしないで帰ってきた現場というのも、この時限りでした。


今年はどんなレースになったのでしょうか。

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